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ハンジ班の奇行種【進撃の巨人/リヴァイ】

第15章 リヴァイの奇行種攻略作戦


「あ、ありがとうございます。」

2人分の紅茶をもって応接セットに2つ並べると、エルヴィンはクレアの向いに座り、医療品リストを手渡した。

「前回の壁外調査では必要最低限の物しか入っていなかったが、今回は前回より長距離まで進行し、拠点の設営も行う。ある程度の被害も視野に入れなくてはならない。医師と相談してリストを作ってみたんだがどうだ?何か他に足すものはありそうか?」

「……前回よりだいぶ充実していますね。足すものがあるとすれば止血帯がもう少しあるといいですね。……あとは……」

リストに載っていない薬品で、1つ持っていった方がよいものがクレアの頭にはあった。

「なんだ?足りない物があるなら言ってくれ。できるかぎり揃えよう。」

「あ、いえ…足りない物ではないのです…ただ、あった方がよいものが、1つあります…」

「なんだ?手に入りにくい物なのか?」

「…はい……高濃度の麻酔薬、もしくは大動物用の麻酔薬があればと思いました…」


「……縫合処置の局所用ではなく、ということか?」

「…はい。」


「それはつまり……」


「……はい、安楽死用です。」

前回の壁外調査で治療をした兵士は幸いにもみな軽症の者ばかりであったが、今回は長距離かつ拠点の設営もあるのであれば、重症者もでるかもしれない。

「壁外では満足な手術もできませんし、医師ではない私のできることには限界があります。私の身勝手かもしれませんが、手の施しようのない重症兵士にはせめて安らかに逝ってもらいたいのです……」

クレアは唇を噛みしめながら訴えた。

エルヴィンは今まで幾度となく苦しみながら死んでいく兵士を見てきたため、クレアの気持ちが痛いほどに理解できた。

「何年か前までは医療班なるものを編成していて、安楽死ができるような薬品も持たせていたんだが…医療班事態が壊滅してしまうことも多々あって、近年では簡易的な応急処置セットを各班に持たせる程度しか装備してなかったんだ。」

「そうだったんですね…」

医療班といえど、巨人と戦う調査兵に変わりはないのだ。巨人との戦闘で亡くなってしまえば、医療面は機能しなくなってしまう。

ことに高濃度の麻酔は値段が高く、手に入りにくい。
壁外調査のたびに医療班共々壊滅では入手も困難になってしまうのも頷ける。

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