第15章 リヴァイの奇行種攻略作戦
嫌だ…、そんな事にはなって欲しくない。
いつだってリヴァイが紅茶を頼むのは自分であってほしい。掃除を任せるのも、仕事を手伝うのも、自分でなければ嫌だ…
駄々をこねるような幼い感情に支配されてしまい、クレアはどうしてもリヴァイの方を向くことができなかった。
今の自分はきっと、ひどく拗ねた顔をしているはずだ。そんな顔を見られたくもないし、理由も悟られたくない。
リヴァイに対してこんな独占欲の様な感情をむき出しにしている自分にも戸惑っていたが、この溢れ出る醜い感情をどうしても止める事ができなかった。
お互いにすれ違ったまま重苦しい時間が過ぎていくが、そう長くは続かなかった。
──コンコン──
「リヴァイ、俺だ。今いいか?」
「……エルヴィンか?あぁ大丈夫だ。」
──カチャ──
「忙しいところすまない。悪いんだがクレアを借りてもいいか?次の壁外調査で持たせる医療道具で色々と相談があるんだ。」
「………………。」
リヴァイはつくづく今日はタイミングが悪いと心の中で盛大に舌打ちをした。
クレアの休日の予定を聞くこともできず、更には不機嫌の理由もわからず終いだ。だけど仕方がない。
リヴァイは了承する他なかった。
「あぁ、大丈夫だ。連れて行け。」
クレアは少し戸惑った表情を見せたが、エルヴィンの呼び出しにリヴァイが了承したのであれば、従うのみだ。
「兵長……失礼致します…」
挨拶をすると、クレアはリヴァイの執務室を後にした。
「クレア、リヴァイの手伝いをしているところ悪かったね。いつもリヴァイは君の隣で並んで仕事をしてるのかい?」
エルヴィンの執務室までの長い廊下を歩いていると、いつもの爽やかな表情で話しかけられた。
「は、はい…理由はよくわからないのですが…最近は兵長もソファで仕事をしています…」
「そうなのか、リヴァイも少しは素直になってきてるといいんだがな。」
「…………。」
クレアはエルヴィンの言っている事がいまいち理解できなかったためうまく返事ができなかった。
執務室まで着くと、エルヴィンは医療関係の書類をまとめ始めたので、クレアは紅茶を淹れようと準備を始めた。
「ありがとう、クレア。茶菓子もあるからクレアの分もいれなさい。」