第15章 リヴァイの奇行種攻略作戦
まさかとは思うが、女兵士とのやりとりで何かクレアの癇に障ったのだろうか…
昨日はいつも通りであった為、思い当たることといえば、不甲斐なくもキスシーンを見られてしまったことだ。
あの女兵士にやましい気持ちはまったくないが、正直なところ、リヴァイはクレアに対して若干後ろめたさがあった。
キスを迫られた時、よけようと思えば出来たし、肩を掴んで阻止しようと思えばできたのだ。
しかしリヴァイはずっとクレアの事を考えていたせいか、「もしコイツがクレアだったら」などと、一瞬血迷った妄想をしてしまい、気づけば唇を奪われるという事態になってしまった。
おそらくはこの辺のあたりが、クレアがいつもの紅茶を淹れられなくなった出来事なのではないかと考えられそうだ。
もしかしたら、手は出さないと言っておきながら、あの女兵士に下心があると勘違いしているのだろうか?
もしそうだとしたならやっかいだ。
リヴァイは紅茶と書類を手に持ち、クレアの隣に座った。
しかし、いつもなら自分が隣に座ると、少し恥ずかしそうに、なにか言いたげな様子を見せるのに、今のクレアは、リヴァイが隣に座ったのに気づいてないのか、気にも止めていないのか、ピリピリとしたオーラを放ったまま仕事に集中している。
自分がまったく眼中に入っていない様子にリヴァイは少し焦りだしてしまう。
「おい、クレア、機嫌でも悪いのか?」
「い、いえ…そんなことはないです。」
一瞬肩をピクリとさせ、否と返事が返ってくるが、顔は書類を見つめたままで、こちらを向こうとしない。
「………………。」
いつもと様子が違うと判断するには十分すぎる態度だ。
だからといってどうすればいい…あの女兵士に下心などないと、なんの脈絡もなく弁解すればいいのか?
それはそれで逆にやましい事を隠してる様に聞こえないか?
リヴァイはこの状況を打破する方法が中々思い浮かばなかった。
また、クレアもクレアで戸惑っていた。
自分が気持ちを伝える前にリヴァイを誰かに取られてしまったら…
好きだと迫る女兵士をリヴァイが好きになってしまったら…
もしそんな事になったら自分はもうここに通うことすらできなくなるのではないだろうか…
クレアの不安は更に大きく膨れ上がってしまう。