第15章 リヴァイの奇行種攻略作戦
──翌朝──
壁外調査まで1週間をきっているため、クレアはリヴァイの仕事が山積みになっているだろうと思い、少し早目に執務室に向かった。
しかし、いつもより早目に来たにも関わらず、執務室の扉が細く開いている。
リヴァイは先に来ているのだろうか…少し中の様子を伺おうとした時、クレアは衝撃的な光景を目にすることになった。
「(兵長…お願いです!!)」
「(おいっ!)」
──ガタンッ──
「(……………っ!)」
細く開いている扉から見えた光景は、女兵士とリヴァイがキスをしている姿であった。
女兵士が無理矢理迫ってキスをしていた様に見えた為、おそらく前回の壁外調査前の時に目撃したものと、似たような状況なんだと思われる。
しかし、以前目撃した時と、今とでは、クレアのリヴァイに対する気持ちがまったく違う。
運の悪いことに、自分の片思いしている男が、他の女とキスをしているところを目の当たりにしてしまったのだ。
息をするのも忘れ、指先とつま先がサーッと冷たくなっていく感覚がクレアを襲った。
「(おい、ふざけるなよ…)」
──ガタッ──
「(あっ、兵長…本当に許しては頂けませんか?一度だけでいいんです…)」
「(何度も言ってるだろ!俺にそんな趣味はねぇ。他の男を当たれ!…もう出ていけ。)」
「(………………)」
リヴァイの言葉で諦めたのか、女兵士はこちらに向かってくる。
そこで、ハッと我に返るがどうにも足が動かない。
どうしようかと戸惑ってる間にも扉は乱暴に開けられ、女兵士は走って行ってしまった。
おそらくクレアの存在には気づいていないだろう。
顔はよく見えなかったが、前回とは違う兵士だった様に見えた。
「お、おはようございます…兵長…」
おずおずと気まずそうに執務室にはいると、ジャケットとクラバットを整えているリヴァイの姿が目に入った。
「…クレアか……今日はいつもより早いんじゃねぇのか?」
「壁外調査前なので、仕事が多いだろうと思って早目にきたのですが……お取り込み中だったようで、入室できませんでした…」
「何だ?見てたのか?」
「扉が少し開いてて、見えてしまったんです!」
「はぁ…まぁどっちでもいい。仕事を始めるから紅茶を頼んでもいいか?」
「わ、わかりました…」