第4章 懇願
「フン、フン、どう?リヴァイ、クレアの第一印象は?…アチチ…私はじゅうぶん調査兵としてやってけると思うよ!ムグ…やっぱりうちの班に欲しいよ、ゴクン!…うん欲しい!連れて帰ろう!」
「おい、汚ぇな、クソメガネ。食うかしゃべるかどっちかにしろ!それに今日連れて帰れる訳ねぇだろ!」
「アハハハ、ごめんごめん!つい興奮して!」
「まぁ…午前の訓練の様子は、悪くはなかったな。今の時点での評価はこんなもんだ。あとは立体機動の腕を見てからじゃなきゃ決めらんねぇな。」
「またまた厳しいこと言っちゃってぇ〜、リヴァイも結構クレアのこと気に入っちゃってるんじゃなーい?」
「あぁ?!」
冗談ぽく笑うハンジにリヴァイは思いきり眉間に皺をよせて睨む。
「リヴァイが気に入っちゃってもクレアは私のものだからね〜横取りは許さないよ!んじゃあ私は先に森に入って見やすい場所探しとくからね〜!」
ニカッと笑ってウインクするとハンジは足速に来賓室を出ていった。
「あのやろう、もう食ったのかよ…」
気に入ったかだと…ふざけるな…
リヴァイは心の中で否定をしたつもりだったが、なんとなくハンジに図星をつかれたような後味の悪さが残っていた。
兎にも角にも本題は立体機動の腕前を見てからだ。でなければ、決められるものも決められない。
リヴァイも急ぎ足で食事をすませると、訓練兵が動き出す前に森に向かった。
立体機動を使い森の中に入ると、だいぶ中の方まで入ったであろう所でハンジを見つけた。
「あ!リヴァイきたきた!こっちこっちー!」
ハンジはブンブンと手を振りながら呼びかけた。
午後の訓練の前半は訓練兵全員で立体機動を使った森抜け競争。
後半がチームに別れて巨人の模型を使った討伐訓練だ。
「いよいよだね!くーーっ!なんかワクワクしてきたよ!」
リヴァイの腕を掴みながら興奮気味に振り回す。
「おい!少し落ち着け!見つかるぞ!」
そう言いながらも、期待通りの展開になるかどうか、少なからずリヴァイも気持が高揚していた。
間もなく午後の訓練の開始の時刻である。