第15章 リヴァイの奇行種攻略作戦
「(お互い好き合ってるのに、もったいないよね。エルヴィンの焦れったくなる気持ちも分からなくないよなー!)」
「(しかも、その事に気づいてないのは当の本人2人だけときてる。リヴァイには悪いが、傍観している俺たちからしてみれば面白すぎる話だ。)」
リヴァイはすでにエルヴィンの執務室から離れてしまっていたため、ハンジ達の会話の続きなど、聞こえる訳がなかった。
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兵団内には兵士同士が交流を深める場として、休憩室や談話室、多目的室など、決まった呼び方はないが自由に使える広目の部屋が存在する。
そこでは気の合うもので酒を飲んだり、ゲームをしたりなどそれぞれの娯楽を楽しむことができる。
リヴァイ班のメンバーであるエルド達も、ここでよく酒を飲んでいて、今宵も仲良く集まっては酒を飲んでいた。
壁外調査が近くなると、少なからずピリピリとした雰囲気になりがちだが、この4人はいつもの調子を崩すことなく仲間との楽しい時間を過ごしていた。
他愛もない会話で盛り上がるエルド達であったが、ある1人の人物の登場により、その空気は一変することとなる。
──カチャ──
誰かが入ってきたなと何気なく扉の方をむいた4人はその人物の姿を見ると一瞬で固まった。
「「「「リヴァイ兵長?!」」」」
今までリヴァイがこの休憩室に来たことなどなかったため、皆驚きを隠せなかった。
また、1人できたということは、恐らくは自分たちに何かしら用事があるのだろう。
ことに今は壁外調査前である。4人に緊張が走った。
「楽しく飲んでるところ悪いな…お前ら、少しいいか?」
「も、もちろんです!兵長!ここに座って下さい。」
オルオが素早く椅子を引いてリヴァイを座らせた。
「あの、兵長。安物のワインなんですけど、よろしければ…どうぞ。」
ペトラが共同の食器棚からグラスを持ってくると、ワインを注いでリヴァイに出した。
「あぁ、ペトラ、気を遣わせて悪いな。」
「それにしても、こんな所までどうしたんですか?」
エルドとグンタが目を合わせながら問いかける。
「……お前らにしか聞けないことがあってな。聞いてくれるか?」
4人は真剣な顔でリヴァイを見つめ、頷いた。