第15章 リヴァイの奇行種攻略作戦
9月末、気候もすっかり秋めいた頃、調査兵団は1週間後に壁外調査を控えていた。
前回の壁外調査での被害が比較的小規模だったためか、あまり間をあけずに申請が通ったようだった。
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夜、リヴァイはエルヴィンに渡す書類を持って長い廊下を歩いていた。
特に急ぎのものではなかったが、壁外調査前は何かと忙しくなるため、前倒しに片付けるにこしたことはない。
エルヴィンの執務室に到着し、ノックをしようとした時、中からよく知る人物の笑い声が聞こえてきた。
「(アハハハ!アハハハハ!ヒッ!ヒーーッ!エルヴィン、壁外調査前に呼び出しなんて、何の話かと思ったら…いきなりなんなんだよ!)」
「(ハンジ、そこまで笑わないでくれ。私はいたって真面目なつもりだ。それに、お前もミケも同意見ではないのか?)」
なんだ?ハンジとミケだけ招集だと?俺抜きでいったいなんの話をしてやがる?
リヴァイはノックする予定だった手を下ろすと、しばし中の会話に耳を傾けた。
「(まぁ、エルヴィンの気持ちも分からなくはないけどねぇ……)」
「(そうだろ?いったいリヴァイとクレアはいつになったらくっつくんだ。もう焦れったくてしょうがないんだが。)」
「(フン、お前が焦れたところで仕方ないだろう。だが、クレアの事をやらしい目で見てるヤツは結構いるからな…リヴァイも気づいてない訳ではないだろうに。)」
「(だよねー、でもクレアもクレアでちょっと残念なくらい鈍感なところがあるからさー。リヴァイも手をこまねいてるんだと思うんだけどね。)」
「(私はリヴァイがあそこまで奥手だとは思わなかったぞ。)」
…………揃いも揃って言いたいこと言ってくれやがる。
アイツの事をいかがわしい目で見てるやつがいることなんざ百も承知だ。
しかし、いくら早く自分のものにしたいと思っていても、一筋縄でいきそうにない上に、いい作戦も浮かばない。
胸糞悪いがクソメガネの言う通り、まさしく今の俺は手をこまねいてる状態だ。
でも、いつまでもこんな状態で言い訳がない。
もうなりふりかまってはいられないのだろうか。
エルヴィン達の話を聞いて、何かが吹っ切れたのか、リヴァイは仕事を後回しにして、ある場所に向かうことにした。