第14章 奇行種の妙案
「ありがとうございます。あの、兵長もよく二日酔いになるんですか…?」
「あぁ?誰に言ってやがる。俺がそんなヘマする訳ねぇだろ。たまにオルオやグンタがハメを外す時があるからな、常備していたまでだ。」
「で、ですよね…」
クレアはありがたく薬を頂戴すると、出された水で飲み込んだ。
薬を飲んだのならあとは効くのを待つだけだ。
早速仕事を手伝おうとリヴァイの方を向くが、当の本人はソファに寄っかかり、足を組みながら紅茶を飲んでクレアを横目で見つめている。
まだ何か問題でもあるのだろうか…
なんだか変な汗が出てきてしまう。
「おい奇行種、お前は昨日の出来事をどこまで覚えていやがる。正直に話せ。」
予想外の質問だったが、クレア自身も昨日の記憶が曖昧でよく覚えていない。
今一度昨日の事を思い返してみた。
「えっと……昨日はハンジさんの執務室に団長と兵長と3人で行きましたよね…モブリットさんが買ったお酒で乾杯して……それからハンジさんへのプレゼントをお披露目して……ハンジさんが喜んで食べてくれて……えっと……んーと…」
おい、まさかとは思うが…
「あれ……えーと、その後どうしたんでしたっけ?」
案の定、クレアは途中で記憶が飛んでいた。
「ふざけるなよ…奇行種野郎。」
リヴァイは紅茶のカップを置くと、クレアの左手を無理矢理自分の太腿に置き、右手を掴むと自分の口元まで持ってきた。
「兵長?!」
「お前はこうやって、昨日散々俺の口の中に巨人の肉片をつめこんでくれたんだが……覚えてないというのはどういう了見だ?」
「……………!?」
ち、近い……兵長の顔が近すぎる…
いきなりの出来事に頭はパニック状態になったが、この体勢と距離にはなんとなく覚えがあり、頭を捻らせながら記憶をたどった。
「……………………………。」
そうだ………そうだった……
段々と蘇ってくる記憶にクレアはただ目をそらすことしかできない。
「そのツラだと、思い出したみてぇだな。」
両手を解放してやると、クレアはコクコクとバツが悪そうに黙って頷いた。
クレアはエルヴィンとリヴァイに巨人の腕を無理矢理口に入れた挙げ句、その後もリヴァイに詰め寄り半ば強引に食べさせ続けたことを思い出した。