第14章 奇行種の妙案
普段の、甲斐甲斐しくリヴァイの仕事を手伝う姿や、立体機動訓練の時の好戦的な表情、時折みせる笑顔も魅力的だが、あんな風に酔って上機嫌になる姿はとても無邪気で可愛く、リヴァイの男心は疼くようにくすぐられた。
しかし、あんな姿を他の男の前でされてしまっては大問題だ。
今後、自分のいないところで酒を飲むことだってもちろんあるだろう。
クレアへの気持の伝え方を考えあぐねていたリヴァイであったが、そう悠長にもしていられそうにない。
クソッ…早いとこ何とかしねぇと……
そんなリヴァイをよそに、クレアは気持ち良さそうに寝息を立てている。思わずため息が漏れてしまった。
思えばコイツが入団してからは、なんだかんだで俺は振り回されっぱなしだ。俺がそんな気持ちでいることなんて鈍感なコイツは微塵も思っていないのだろう。
少し悔しくなったリヴァイはクレアの髪を分けると、愛しい奇行種の額に一度キスをした。
これくらいは許されるだろう。
布団をかけてやり部屋を出ると、リヴァイはクレアのカギを使ってドアを閉め、自室に戻っていった。
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「…………………………ぅっ」
クレアは今まで感じたことの無い倦怠感と頭痛で目が覚めた。
外はまだ薄暗い。
寝坊はしていないようだ。
昨日はハンジの部屋で誕生日のお祝いをしていたが、何時にお開きになって、どうやってここまで戻ってきたのか記憶がない……
ムクリと起き上がるとズキンと頭が痛んだ。
怠さと頭痛で身体が重いが、なんとなく風邪とは違う感じがする。
体調がいいとは決して言えないコンディションであったが、こんな早朝に医務室にいくのは少し気が引けた為、とりあえずは着替えてリヴァイの執務室に行くことにした。
重い足取りで部屋の扉を開けると、出たすぐ横で、リヴァイが背中を壁につけて立っていた。
「ひっ!!へ、兵長?」
まったく予想外のできごとに、思わず声が上ずってしまう。
「おい、化けモン見たようなツラしてんじゃねぇよ。それにしても、寝坊もせず起きてこれるとはたいした奇行種だな。」
「す、すいません…でも、なんで兵長がここに?」
やはり覚えてないようだ。
リヴァイはため息をつきながら、クレアの首から外したカギを投げて渡してやった。