第14章 奇行種の妙案
黄色のような黄土色のような色をしたそれは、いびつな人の形をしていて、なぜだか躍動感を感じさせるようなポーズをしている。
「おい…奇行種野郎、これはまさかとは思うが……」
「クレアー!これ巨人でしょ?!すげー再現度高くてまじ滾るよ!!食べるっていってたけど、これ何でできてるの?」
ハンジがリヴァイの言葉を遮るように興奮しだした。
「ハンジさんご名答!これは私がさつま芋とカボチャで作った渾身の巨人フィギュアです!!ちなみにこれとこれが通常種で、これとこれが奇行種です!」
クレアは少し酔っているのだろうか。
どうだ!と言わんばかりの得意げな顔とテンションで説明をする。
「まじでスゴい!私奇行種食べたいんだけど!」
「もちろんです!ハンジさんのお誕生日なので、お先にどうぞ。」
クレアは皿に奇行種と思われるフィギュアを乗せると、ハンジに差し出した。
遠慮なく頭にフォークをさし、かぶりつくとまたもやハンジは歓喜の声をあげる。
「う、う、うんめーー!!てか私巨人食ってるよ!なんかすんげー面白い!アハ!アハハハハ!」
強い酒も入ってるため、昇天寸前だ。
クレアの作った巨人フィギュアとやらは、巨人の特徴が見事に再現されており、顔つきや、表情、手足のバランスや動きに至るまで完璧に出来上がっていた。
ふざけるなよ…奇行種野郎…
…さすがの私もこれは……
完璧な出来栄え故に、絶対に口にしたくないと思ったのはエルヴィンとリヴァイだ。
モブリットはすでに諦めているのか、おとなしく黙って食べていた。
2人は酒のグラスをそっとテーブルに置き、空気の様に執務室を出ていこうとするが、そこを奇行種クレアが見逃すはずがなかった。
「団長!兵長!お待たせしました!」
ギクッと2人は振り返ると、クレアはナイフで巨人の両腕を切り落とし、1つずつフォークにさすと、エルヴィンとリヴァイのもとまでやってきた。
やはりクレアは少し酔っているのだろう。
おぼつかない足取りで2人の口元に巨人の腕がささったフォークをビュンッと突き出す。
その勢いに思わず背中がのけぞった。
「どうぞ!召し上がって下さい!」
そして2人の顔が一気に青ざめた。