第14章 奇行種の妙案
「わぁ、モブリット、今年も奮発してくれたねー!いやぁ、男らしい!私はいい部下を持って嬉しいよ!」
バシバシとモブリットの肩を叩くハンジは大好きな銘柄の酒を前に注がれるのが待ちきれない様子だった。
クレアが丁寧に5人分のグラスに酒を注ぐと、ささやかではあるが、ハンジのバースデーパーティーが始まった。
「ここはせっかくなので、団長が乾杯の音頭をとって下さい。」
モブリットにうながされると、エルヴィンはゴホンとかしこまりグラスを持ち上げた。
「ハンジ、君は優秀な兵士であり研究者だ。今後とも調査兵団の繁栄のために頑張ってくれ。それと、もう少し風呂に入る回数は増やしてくれ…乾杯!」
「エルヴィーン!最後のはいらないっての!」
ブーブーと言いながら酒を飲み始めた。
クレアも飲んでみたが、なかなかアルコール度数が高い。しかし、高級品だけあってか、酒にあまり慣れていないクレアでも美味しさを感じることができた。
飲みだして少したつと、リヴァイがハンジのプレゼントの中身が気になり焦れてきた。
しかし、ちょうどタイミングよくハンジが質問をする。
「そうそう、クレアが持ってきたこの大きなトレーはいったい何?」
クレアはよくぞ聞いてくれましたとばかりに立ち上がり、いつもより上機嫌にしゃべりだした。
「これは、愛しいハンジさんのために私が作った最高傑作です!たった今調理場で完成したばかりなので、皆さんで食べましょう♪」
「え?なになに?食べ物?」
ハンジも中身が気になりだし、ウズウズし始めた。
リヴァイは調理場と聞き、ケーキでも焼いたのかと想像したが、それにしてはかけられたクロスには高さがあり、全体のシルエットもデコボコといびつな形をしている。
そして何故かモブリットはこちらを見ようとしていない。
「では、ベールをオープンしたいと思いまーす!さーん!にー!いーち!ゼローー!」
──バサッ──
「………」
エルヴィンとリヴァイは一瞬理解ができずに真顔で固まる。
モブリットは何がでてくるか知ってはいたが、その完成度の高さと、エルヴィン、リヴァイの表情を見て顔を手のひらで覆ってしまった。
「何これ!!スゲーー!凄すぎる!クレアが作ったの?まじヤバイ!」
歓喜の声を上げたのは、ハンジのみだった。