第14章 奇行種の妙案
リヴァイはクレアが調理場から来たことを知らないため、クロスのかけられている状態では中身がまったく想像できなかった。
「そうです!やっと完成したので、これからハンジさんに渡しにいくところなんです!よろしければ団長も兵長もご一緒にいかがですか?モブリットさんが美味しいお酒を用意してますので!」
「そうか、今日はハンジの誕生日だったな。プレゼントを用意するなんて、クレアも健気だなぁ。ハンジは泣いて喜ぶだろう。どうだリヴァイ、せっかくだから乾杯くらい一緒にしようではないか?」
「ったく、仕方ねぇな…」
ぶっきらぼうに答えるも、リヴァイはクレアの用意したプレゼントに興味があった。
何せ、今朝は自分のことなど二の次のような態度を取られ、らしくもなくハンジに嫉妬をしてしまったのだ。
ここまでくると、クレアはハンジのために何を用意したのか知らずにはいられなかった。
長い廊下を歩き、ハンジの執務室に着くと、両手がふさがっているクレアに変わって、エルヴィンがノックをしてくれた。
──コンコン──
「クレアです。失礼します。」
後ろからエルヴィンが開けてくれたのにクレアは軽く会釈すると、ハンジの執務室に入って行った。
「クレアー?今日は遅かったね?ってあれ?エルヴィンもリヴァイもいるの?それにその大荷物は何?」
ハンジの頭は珍しく疑問符だらけだった。
クレアはテーブルにトレーを置くと、モブリットの所に行き小さな声で「プレゼントは無事に完成しました。」と耳打ちをした。
すると、モブリットは隠してあった酒瓶をハンジに差し出し
「分隊長、誕生日おめでとうございます。」
「ハンジさーん!お誕生日おめでとうございます!」
今年も無事にサプライズバースデーとなった。
「え?!えーーー?そうか、今日は私の誕生日だったっけ?アハハ、すっかり忘れてたよ。2人ともありがとう!それで、エルヴィンもリヴァイもお祝いにきてくれたの?」
「あぁ、クレアとはリヴァイの執務室の前であってな。せっかくだから乾杯を一緒にと、お誘いを受けた。」
「俺は、コイツの作ったもんが気になっただけだ…」
不機嫌なリヴァイを気に止める様子もなく、クレアは乾杯するため、グラスを用意し始めた。