第14章 奇行種の妙案
お互いに何も語り合わなくても想いは通じ合っている。でもどんなにお互い深く理解できていてもそれは幸せな愛の形なのだろうか。
「そういうのをプラトニックな愛…とでもいうのでしょうか…私にはなんだか切なくて胸が苦しくなります。」
「俺は今のままでじゅうぶんだよ。でもこの俺のやり方が正解だとも思っていない。もちろん両想いの恋人同士が羨ましいと思うことも時にはあるしね。」
「そうなんですか……」
「だから、クレアは分隊長に全てを捧げるだけでなく、恋愛で幸せを掴めるならそうなって欲しいと思ってるよ。」
「え?!」
「リヴァイ兵長が好きなんだろ?」
「モブリットさん!!?」
いきなり話題が自分にかわり、焦りだしてしまう。
「実は少し分隊長から聞いていてね。もちろん俺も応援してるから何か相談があったらしてくれよな。」
「は…はい…ありがとうございます。」
クレアはまさかの展開に恥ずかしくなり、下を向くしかなかった。
「それにしても、分隊長のプレゼントはどうしようか?ここまで巨人マニアだと、もはや巨人の生け捕りくらいしかなさそうだな。ハハハハ!」
ん?!巨人の生け捕り?
そういえば、今まではハンジの喜びそうな者を何かないかないかと必死に考えていたが、そもそもハンジは巨人しか興味がないのだ。
シンプルに考えれば答えはでるじゃないか。
クレアはピーンと何かが全身を巡ると、脳内で爆発したようなアイデアが浮かんだ。
「モブリットさんそれです!それ!もう答えはでてるじゃないですか?」
「え?いきなりどうした?」
「ハンジさんのプレゼントはお酒と………………、にしましょう!」
「え?なんだって?」
モブリットの顔が一瞬青ざめる。
確かにクレアのアイデアはハンジを猛烈に喜ばせることができるだろう。しかし……発想がぶっとび過ぎててモブリットはついていけなかった。
「ま、待てクレア。それをするにしてもいったいどうすればいいんだ?」
「もちろん、私がやります!自信もあります。モブリットさんは、私が夜執務室に行くのを遅れると、伝えておいてもらえれば大丈夫です。私が到着したら乾杯してお祝いしましょう!そうと決まればさっそく買い出しです!さぁさぁ、行きましょう!」
クレアはモブリットの手を引いて店を後にした。