第14章 奇行種の妙案
昼ごはんを食べながら再び案を出し合うが、なかなかうまいものが閃かない。
「…中々難しいなぁ…」
「そうですね…ハンジさんのこと、こんなに好きなのにプレゼント1つ思い浮かばないとは…」
頭をひねりながら食事を終えると、ぐったりしたように呟いた。
「そういえば、モブリットさんは、ずっとハンジさんの班なんですか?私みたいに自ら志願したんですか?」
クレアは少し話題を変えてみようと、なんとなく聞いてみた。
「俺かい?いや、入団したては違う班だったんだが、翌年くらいにその時の班長が殉職してしまってね。次に配属になったのが分隊長の班だったんだ。まだその時は班長だったよ。」
「そうだったんですか!それからずっとハンジさんの班なんですね?」
「そうだよ…分隊長の班は、勤務が過酷だから、異動願いを出す者も少なくなくて…俺だけでも側にいないと、暴走を止める者がいなくなってしまうからね。そう思って必死について行ってたら……ハハハ、今に至ってしまってるな。」
苦笑いを浮かべながら懐かしそうに話すモブリットは、以前ハンジが風呂でモブリットの話をした時と同じ、憂いを帯びた目をしていた。
「……モブリットさんがハンジさんに寄せる想いは、敬愛のみですか?」
ハンジから話はあらかた聞いてはいたが、クレアはモブリットの本当の気持ちも聞いてみたくなり、疑問をぶつけてみたが、なかなか大胆な質問の仕方になってしまった。
「ハハ、クレアは痛いとこをつくね…もちろん敬愛だけだ。と言いたいところだけど、自分の気持ちには蓋をして、敬愛を貫いている。ていう方が正解かな。」
「そ、そんな……」
「分隊長に対して特別な感情に気づいた日なんてわからない。いつの間にか怠慢で破天荒だけど、研究熱心で情熱的なあの人に惹かれていたんだ。でも分隊長の追いかけるものはいつだって巨人だけだった。自身の恋愛にも興味はないと言っていたしな……叶わぬ想いなら胸にしまって副官としての敬愛を貫こうと決めたんだ。でも…鋭い分隊長のことだ。きっと俺の気持ちなんてとっくの昔に見透かされてる。それでも上官として気づかないフリをしてくれているんだよきっと。まったく、何もかも敵わないよ、あの人には。」
「モブリットさん……」
モブリットの話した内容はハンジから聞いていたものとまったく同じであった。