第13章 奇行種、ハンジと入浴
「ん?クレア?急にどうしたの?」
ハンジからしてみればいきなり愛の告白を受けたような気持ちになり、一瞬ドキッとしてしまった。
「表向きには言えませんが…私はハンジさんに心臓を捧げた兵士であります。ですが…」
言いにくいのか少し口ごもってしまう。
「なに…?気なるから早く言ってよ!」
「ですが、ここまでハンジさんを敬愛していながら、す…好きな人ができてしまったと聞いたらハンジさんは……こんな私を許してくれますか…?」
ハンジからは以前に、恋の相談もちゃんとしてくれと言われていたが、仮にもクレアは命を賭して戦う兵士なのだ。
本当にこんな話をしてしまってもよいのだろうか迷った。しかし、自分の中に大切にしたいものが新たにできてしまったとあれば、上官であるハンジにはきちんと報告しなくてはならない。
ハンジへの敬愛はもちろん永久不滅の忠誠心だ。
でも、リヴァイに対して芽生えた異性への恋心。この2つはうまくバランスをとって両立できるものなのか……またそれをハンジは許してくれるのか…
クレアの蒼い瞳は不安げに揺れた。
一方ハンジは、好きな人と聞き……それはきっとリヴァイの事だろう。
そんなことは、聞かなくても分かっていた。
しかし…
「そうかぁ、クレアもついに恋をする年頃になったかぁ……でもこの調査兵団は好青年ばかりではない。いったい誰なんだ?まさかミケか?あいつは匂いフェチでとにかくムッツリな変態だ。あまりオススメはできない。同様にエルヴィンもだ。あの爽やかそうなマスクに騙されちゃいけないよ!ゲルガーは酒の事しか考えてないし、ナナバはかっこいいけど性別は女だ。」
ハンジはわざとらしくクドクドと話をして
「で、いったい誰なんだい?」
と意地悪に笑いクレアを見た。
「も、もう!ハンジさん!わかってるクセに酷いです!」
真面目に話したのに!と、クレアはお湯をバシャバシャさせて反撃をした。
「アハハハ!バレた?ごめんごめん!でも、クレアからそう言われるの、待ってたから。嬉しくてついね!」
「もういいですよ…ちゃんと言いますから!……その…リ、リヴァイ兵長です……」
「うん、ちゃんと知ってたよ!話してくれてありがとうクレア」
ハンジはニコニコとクレアの頭を撫でた。