第12章 奇行種の休日
一通り掃除が済むと、クレアはお湯を沸かし始めた。
そろそろリヴァイが来る時間だ。
──カチャ──
コポコポとヤカンの中の水が沸き始めた頃に部屋の主リヴァイはやってきた。
いつもの様に挨拶をしようと思ったが、現れたリヴァイの姿を見てクレアは驚愕した。
朝にシャワーを浴びてきたのだろうか。
髪の毛に水分を含んでいる。
そして、男らしくない石鹸のいい香りを漂わせているてはないか。
朝から風呂上がりを連想させる姿に思わず妙な色気を感じてしまい、クレアは軽く目眩を起こしそうになる。
……兵長、かっこよすぎです……
この時点でクレアは壁外調査後に怒鳴られていたことなど、どこかへ吹き飛んでしまっていた。
こんなリヴァイの姿を見てしまうと、好きだと自覚する前の様な態度はとてもとれない。
妙な色気を放つリヴァイを前に少し目をそらして挨拶するのが精一杯だった。
「兵長…おはようございます…」
一方リヴァイは自分が放つ色気にクレアがやられているなど微塵も思っていないため、目をそらしてされた挨拶に、若干戸惑った。
やはり、壁外調査後に怒鳴ってしまったのが悪かったのだろうか……
もうここには来たくない等と言われてしまったら最悪だ。リヴァイはクレアの正面に立つと潔く怒鳴ってしまったことを詫びた。
「……おい、壁外調査後にいきなり怒鳴ってしまったな。今更だが…悪かった…」
はっと我に返るとリヴァイが自分に怒鳴ったことを詫ているではないか。
信じられなかったが、クレアも確認したいことがあった。
「兵長は怒っていたのではなかったのですか?」
「…怒ってなどいない。あの時は…お前の安否が気になっていて、見つけたと同時に感情的になっちまったんだ。」
自分でもらしくないことをしたと思ってるのだろうか。少しバツが悪そうだ。
──お前の安否が気になっていて──
クレアはリヴァイの言葉に胸を熱くすると同時に、ハンジとエルドの話を思い出した。
2人の話はどうやら本当だったようだ。
「兵長に安否を気にかけてもらえるなんて、恐縮です…」
「あの様子だと、見事討伐はできたようだな。」
「はい!討伐2体、討伐補佐1体でした。」
「新兵の初陣のくせにやるじゃねぇかよ。」