第12章 奇行種の休日
壁外調査からの帰還後、リヴァイはクレアの安否を心配するがあまり、血塗れの姿を見た途端つい感情的に怒鳴ってしまった。
タイミング悪く医師からの応援要請がかかったため、クレアとした会話はそれが最後だった。
あの返り血だ。初陣にもかかわらず、立派に討伐してきたに違いない。
もっと労いの言葉をかけてやるべきだった。
この2日姿を見せなかったのは、自分が怒っていると思って来づらかったのだろうか。
兵舎にいるなら見かけた時に声をかえようと思ったが、そういう時に限って姿を見かけることができなかったため、今に至るまで理由は分からず終いだ。
明日は来るだろうか。
ちゃんと話がしたい。そして聞いてやりたい。
少し不安になりまた一杯と酒を煽る。
真面目なクレアのことだ。
訓練が再開する明日からはきっとくるだろう。
早くクレアの元気な姿に会いたい……
もう何もする気になれなかったリヴァイはブーツを脱ぎ捨て兵服のままベッドに倒れこむと、珍しくそのまま眠ってしまった。
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翌朝
クレアは寝坊をすることなくいつもの時間に目を覚ますことができた。
まだ日が昇り始めたばかりの明るさに一安心すると、急いで身支度してリヴァイの執務室に向かった。
胸の内ポケットには昨日買ったハンカチが入っている。
うまく渡せるタイミングはあるだろうか。
できることならお礼の気持ちとともに渡したい。
執務室に着いたが、リヴァイの気配はなく、クレアはカギを使って中にはいった。
2日ぶりに入った執務室。
机の上に書類の山が大小合わせて3つ程あった。
休日でも幹部の忙しさがうかがえる。
ハンジは書類仕事は全てモブリット任せだ。時々モブリットから説教をされてしまうが、結局はモブリットも甘い所があり、仕事をおしつけられてしまう。
しかしリヴァイにはモブリットのような副官がいない。
こんな仕事をこなすのは大変なんて言葉では言い表せないだろう。
リヴァイがきたらすぐに仕事を手伝えるように、クレアはすぐに掃除に取りかかった。