第12章 奇行種の休日
出会いはとんでもなく悪印象だった。
しかし、口が悪くても、横暴でも、一方的でも、思い返すといつだってリヴァイはクレアの側にいて助けてくれていた。
それに気づいてリヴァイが好きだと自覚したのが、壁外調査の前日だ。
よくよく考えれば、恋心に気づいてからまだ3日しかたっていないのだ。
帰還後にリヴァイから怒鳴られたり、ハンジやエルド達から色々言われたりして、気持ちが混乱したが、クレアの片思いはまだ始まったばかり。
何も、慌てることなどない。
クレアは思う。
これはクレアにとって初恋だ。
悩んだり、ドキドキしたり、混乱するのは当たり前のことだ。
例え実らなくても大切な思い出にしたい。
だからこそ、執務室で仕事をさせてもらえる間は、時間の許される限り兵長の側にいよう。
そして後悔しないように、いつかはこの想いをちゃんと伝えたい。
戸惑いながらでもいい、悩みながらでもいいんだと思えば、自然と気持ちが落ち着き心が少し軽くなったように感じた。
ハンジとは恋の相談もすると約束をした。
フレイアだって年は下だが恋愛に関しては先輩だ。
少し恥ずかしいが、リヴァイのことを心配していたエルヴィンに相談したっていい。
どんなに悩んだってクレアは1人ではない。
ここ数日、まわりからリヴァイのことであれこれと言われて混乱したが、冷静になり落ち着いてくると、少しずつ調子が戻ってきた。
明日の朝はちゃんといつもの通りに執務室に行けそうだ。
仲睦まじく街を歩くカップルを、羨ましく思いながら喫茶店をでると、クレアは兵舎にもどっていった。
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夜もふける頃、リヴァイは自室で酒を飲んでいた。
仕事がまったく手につかず、酒でも飲まなきゃやってられない気分だった。
原因はもちろんクレアだ。
休日は執務室にこなくていいと始めに言っていたが、自分が休日も執務室にいることがわかると、アイツも来るようになっていた。
そんなことが当たり前になっていたからだろうか…
この2日クレアが姿を見せなかったことで、リヴァイの仕事がまったく手につかなかった。
「クソッ……」
しかし、この2日執務室に来なかった理由にリヴァイは心当たりがあったのだ。