第83章 第83章 番外編・奇行種、不調
お互いに協力し合って子育てをしようと話す2人の姿はもう立派に父親と母親だ。
「そういえば、ハンジさんって意外と赤ちゃんの抱っこ上手なんですよ。以前タリアさんのお家にお邪魔した時慣れないながらも一生懸命抱っこして泣きやませてました」
「そういえば、そんなこともあったな」
「それに、香油屋のビスマルクご夫妻もきっと喜んでくださるはずです。困った時には手助けをしてくれるかもしれません」
「そうだな、いざとなりゃエレン達を招集させてもいい」
「ふふふ、そうですね!兵長が手伝ってくれって言ったら皆さん飛んできてくれると思います」
クレアもリヴァイも天涯孤独の身。
しかし、いざとなったら助けてくれそうな人物が思いのほかいるではないか。必ずしも2人で全てを乗り越えなくてはならないわけではなさそうだ。
そうなると2人の表情も明るくなる。
「兵長、何だか色々と楽しみになってきましたね」
「季節が2つ変わるまでか…楽しみにしていたら意外とあっという間か?」
どんよりと暗かった2人の空気が1週間ぶりに明るく穏やかに変わると、自然と会話が弾み話題もつきない。
気づけば他愛もない会話で小一時間が過ぎようとしていた。
「あ…すみません、もうこんな時間…兵長まだお食事されていないのに私ったらだいぶお喋りをしてしまいましたね…」
クレアは夕飯の支度をしようと立ち上がろうとしたが、リヴァイによって制止されてしまう。
「待て…夕飯はいい、今日はもう寝ちまおう。ここ1週間、ギスギスしちまって…悪かった。クレアも疲れただろう。」
「そんな…兵長は私のことを心配してくださっただけです…でも、色々と安心したらなんだか眠たくなってきちゃいました。帰ってから一度眠ったはずなのに…」
そう言うとクレアはゴシゴシと目元をこすり始めた。