第83章 第83章 番外編・奇行種、不調
「腹の子は母親の栄養を使って大きくなるんだろ?それなら眠ってもまたすぐ眠くなるのは当然だ。体力も栄養も子供にもってかれるんだからな。しかもクレアは双子を妊娠してる。1人の身体で1人の子供を育てるだけでも大変なんだ。2人分ともなれば相当だろう。今日はもう休むぞ」
「は、はい…」
椅子から立ち上がったリヴァイはクレアを横抱きに抱き上げると、まっすぐ寝室へと向かった。
昨晩も一緒に眠ったベッドに寝かせショートブーツを脱がせると、眠たそうなクレアと目が合う。
眠たそうにまばたきをするその穏やかな表情に思わず手が伸び頬を撫でるとクレアは気持ちよさそうに目を細めた。
「兵長…気持ちいです…なんだか…もう寝ちゃいそうです…」
「別に構わない。眠たいなら眠ればいい…」
クレアは懸命に瞬きをしてなんとか起きていようと試みたようだが、自身の頬を優しく撫でるリヴァイの手の心地よさに負け、気づけば意識を手離し深い寝息を立てていた。
「…寝ちまったか…」
頬を撫でながら顔を覗き込むと、クレアの口角は緩く弧を描き幸せそうな寝顔だ。
「………」
幸せそうに眠るクレアの顔を見れればもうそれでいい。
リヴァイは自身もベッドに上がると、ブーツにジャケットやスボンを次々に脱ぎ足元にまとめた。
「風呂は明日の朝にするか…」
夕食も風呂もまだであったが、ここ1週間の緊張状態が、嬉しい知らせとともに無事に解決したのだ。
リヴァイの本能はクレアを抱きしめて眠ることを第一優先させたようだ。
「………」
ベッドに横になりクレアを抱き寄せれば深い寝息が心地良くリヴァイの耳に響く。
この腕の中にいる小さな愛しいクレアは、尊い命を2つもその身に宿らせ育てている。