第83章 第83章 番外編・奇行種、不調
「あの…兵長…この紙袋は…」
「あぁ…これか…」
この袋の中身はリヴァイが1番に買いたかった物ではないし、クレアが1番に喜ぶ物でもない。
しかし何かと聞かれて隠す物でもない。
リヴァイは少し迷いながらも袋の中身をテーブルの上に出してクレアに見せた。
「クレアが好きそうな果物でも買って帰れば少しは食べられるかと思ったんだが…あいにくどこも閉店間際で果物は買えなかった。干してある物しか買えなくてすまなかった。明日は早めに仕事を切り上げて何か買って帰るつもりだ。」
「あ…ありがとうございます兵長。なんだかしっかりとした食事が受け付けなかったので…嬉しいです!」
クレアは手前にあった干した木苺の袋を開けると、一粒つまんでポイッと口に放り込んだ。
「ん…甘酸っぱくて美味しいです!あ、こっちの干したぶどうも爽やかな甘さで美味しいです!」
口をもぐもぐと動かしながら喋るクレアは、ここ1週間の辛そうな表情とはうって変わりにっこりとしている。
「クレア…」
「生の果物も良さそうですが、今はあまりたくさん食べられる感じがしないので、少しずつつまめる干した果物がちょうどいいです。兵長…ありがとうございます!」
1週間ぶりに見るクレアの笑顔に心から安心し、リヴァイも柔らかい表情に変わる。
「それなら、明日は色んな種類の乾燥果実を買ってくる。無理のない範囲で少しずつ食べればいい。」
「ありがとうございます!!」
「本当に良かった…」
乾燥した果実は栄養価が高い。
少しずつでも口に入れられるなら何も食べられないよりかははるかにましだ。