第83章 第83章 番外編・奇行種、不調
「クレア…子供か…?」
「…っ!!」
リヴァイの直球の問いかけにクレアの肩がビクッと震える。
「あ…あの…その……」
目に涙を溜めながらあわあわとするクレアを真っ直ぐ見つめながらその返事を待っていると、不安げにコクリと1度頷いた。
「…子供が…できた…のか?」
「はい……」
クレアから見せられたメモ紙には、以前診察をしてもらった産科の医師の名前が書いてあった。
ウォール・マリア奪還作戦の前に流産してしまった時にかけつけた医師の名前だ。
そのメモ紙だけでは良い報告なのか悪い報告なのかわからなかったが、小さくもしっかりとした返事を聞けると、リヴァイは張り詰めていた緊張が溶け小さく安堵の溜息がでた。
クレアとひとつ屋根の下で暮らすようになってからは特に避妊行為はせずに愛し合っていた。
2人で具体的に子供のことについて話し合ったわけではないが、婚姻届けを提出した夫婦なのだ。
いつそういったことになっても問題ないと思っていたからこそそうしていたのだが…
この展開はリヴァイが思っていたよりも少し早かったようだ。
なんにせよ、ここ最近続いていたクレアの体調不良が深刻な病によるものではなくて本当に良かった。
まだ自身が親になるなど、現実みがわかないがクレアと愛し合っていたからこそやってきてくれた命。
リヴァイは胸の奥が熱くなる感覚を覚えたが、ふとクレアの表情が微妙だ。
「クレア…?」
「あ、あの…兵長…」
不安げに揺れる瞳は涙で潤っていて今にもこぼれてしまいそうだ。
喜ばしい知らせだというのに表情が晴れないクレアにリヴァイは疑問符を浮かべてしまったが、重苦しくもポツリポツリと胸の内を打ち明け始めた。