第83章 第83章 番外編・奇行種、不調
「あの…兵長…何度も同じ事を繰り返すようで申し訳ないのですが…体調不良を心配してくださったのに無理をして、すみませんでした…体調不良の原因は…妊娠をしていた…からでした。その…兵長は…こんな突然の妊娠…喜んで…くださいますか?」
「…お、おい…何故そんなことを聞くんだ…」
―喜んでくださいますか?―
クレアはリヴァイが喜ばないと思ったのだろうか。
どうしてクレアがそんなことを聞くのかわからず戸惑ってしまい返す言葉の口調が少し強くなってしまった。
「すみません…まだ夫婦になってそう時間もたっていないので、いきなりこんな状況になって兵長戸惑わせてしまったのではないかと…それに…兵団内の仕事もお互いとても忙しいです。妊娠していると診断された時は嬉しい気持ちが込み上げてきたのですが…帰宅して1人冷静になったら色々と不安も出てきてしまって…」
「クレア…」
いつも周りに気を遣い、配慮をかかさない性格のクレア。自分の感情だけではなく、2人の状況にリヴァイの立場や仕事内容を優先して考えた結果、こうなってしまったのだろう。
クレアらしいといえばクレアらしい。
だが、悪い知らせではない。
2人の間に新しい命が芽生えたというこの上ない喜ばしい出来事なのだ。
こんな重苦しい空気になってしまってはいけない。
リヴァイはもう一度クレアの手を握り直すと、語彙力のない頭を捻りながら答えた。
「クレア…俺が、喜んでいないわけないだろう…仕事とか、立場とか、そんなのは関係ない…嬉しいに決まっている…」
「兵…長…」
「まぁ…いつも俺はこんな顔だ…それにお前のように気遣った言葉遣いもできないからな…余計に不安にさせちまったよな。悪かった…」