第83章 第83章 番外編・奇行種、不調
「兵長…お、お話したいことが…」
「話…?」
立ち上がりかけた身体を再び椅子の上にストンとおろすと、リヴァイはカタンと椅子ごとクレアの方を向いた。
「あ…すみません…」
そんなリヴァイにクレアも椅子ごと半回転し、2人は向かい合う。
「あの…その……」
交わった視線の先には少し戸惑ったリヴァイの顔。
当たり前だ。体調が悪い中1週間も無理して働いていたのだ。もし逆の立場だったとしたら自分も心配するはずだ。
仕事への責任感から無理してしまったが、愛するリヴァイにこんな表情をさせてしまうなどあっていいはずなかった。
「ご、ご心配おかけして…申し訳ございませんでした…」
「謝罪なんかいい…いったいどうしたんだ…」
なんと切り出していいのかわからず、何度目かの謝罪を口にしてしまうが、リヴァイは謝罪なぞ求めてはいない。
クレアの体調に何か問題があるのか?そこが知りたいのだ。
「ごめんなさい…あの…実は…あの後、兵長が午後の訓練に向かわれた後…先生からここに寄ってから帰るように言われたんです…」
「…??」
そう言って部屋着のポケットから小さなメモ紙を出すクレアの手元を見ると、そこには覚えのある名前が書いてあった。
「?!クレア…そこは…」
クレアの話したがってることにおおよその予想がついたリヴァイだったが、良い話なのか悪い話なのかその表情ではわからない。
万に1つ、悪い報告であったら…
そう思うと喉元まででかかった言葉がつまってしまう。
「………」
しかしここで互いに気不味くしていても何も解決しない。
リヴァイは大きく息を吸うと真っ直ぐクレアの目を見て問いかけた。