第83章 第83章 番外編・奇行種、不調
「あ…兵長、お…お帰りなさい…」
クレアが先に帰っている時は、食事の支度をしていても、掃除をしていてもいつも笑顔で出迎えてくれる。
しかし、今はどうだろうか。
怒った顔ではないが、笑顔でもない。
お帰りなさいと言ってはくれたが、リヴァイと一瞬目が合うとすぐにそらしてしまった。
そんな反応のクレアに戸惑い玄関で立ったまま動けなくなってしまったリヴァイ。
「クレア…」
やはり休めと責めてしまったことをよく思っていなかったのだろう。
リヴァイは岩のように重くなってしまった脚を思い切って前に出すと、テーブルから椅子を引き出しクレアの隣に座った。
「クレア…お前の気持ちも考えず休めと一方的にすまなかった。体調はどうだ?」
膝の上で部屋着のスカートをギュッと握っているクレアの手を優しく握るとリヴァイは少し俯いている顔を覗き込んだ。
「兵長…あの…私こそ…申し訳ございません。兵長が心配してくださったのに…忙しくても頑張りたい一心で無理をしてしまって…」
リヴァイの謝罪を素直に受け入れたあたり激怒しているわけではなさそうだ。
その様子に少し安堵するが、まだ解決ではない。
「クレアが謝ることはない。悪いのは自分の気持ちばかり優先させた俺だ。すまなかったな…少しは休めたか?」
「は、はい…」
「……?」
ずいぶんと無理をしたのだ。ゆっくりと休めたのならそれでよい。しかしクレアは歯切れの悪い返事に、なんだか視線が定まっていない。
身体が辛いのだろうか?
「…クレア?辛いか?ベッドまで運んでやるからもう寝ろ…」
「あっ…!いえ!兵長!」
リヴァイがクレアを抱えてベッドまで運ぼうと椅子から立ち上がりかけたが阻止されてしまった。
どうしたのだろうか。