第83章 第83章 番外編・奇行種、不調
家に帰る途中で寄った商店街はまだ人通りはあるものの、ちらほらと店じまいをはじめている所もあった。
時間的にそんなタイミングだ。
リヴァイは青果店を何ヶ所か覗いたが、クレアの好きそうな果物はもう売り切れていた。
「………」
こんなことならもっと早く帰り支度を済ませてくればよかったと後悔の溜め息がもれてしまう。
それでも諦めず店をまわり、なんとか干しぶどうと干した木苺を見つけた。
新鮮な果物ではないが、この2つも割とクレアが好んで食べている物だ。
生の果物は明日にでもまた買えばいい。
リヴァイは包んでもらった紙袋を抱えると、クレアの待つ自宅に向かって走り出した。
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遠目に家が見えてくると、リヴァイは1秒でも早くクレアに会いたくて走る速度を上げる。
眠っていてもいい。
とにかく早くクレアに会いたい。
その一心で走っていると、窓のカーテン越しがボンヤリと明るいことに気づく。
クレアは起きているのだろうか?
「………」
ドアノブを握ると昼間医務室でしたクレアとの会話を思い出す。
クレアの体調を心配していたとはいえ、キツイ言い方をしてしまった。
クレアもしたくて無理をしていたわけではないことは十分にわかっていたはず。
それなのにこの1週間、自分は一方的なことばかり言ってしまったと何度目かの後悔の溜め息をついてしまう。
クレアはこんな自分に嫌気がさしていないだろうか。
不安な気持ちを抱えながらそっと玄関の扉を開けると、リビングのテーブルに向かって部屋着姿のクレアが座っていた。