第83章 第83章 番外編・奇行種、不調
「その…いい意味で…なのかな?私はクレアから笑顔な報告が聞けるって…思っても…いいの…かな?」
「ハンジさん…」
あの遠慮の“え”の字もないハンジが、少し遠慮がちに、気遣うように言葉を選んでいる。
それはクレア自身に起こった悲しい過去を心から心配をして、配慮しているのだろう。
「あ…気を遣わせてしまってすみません!!それは…まだわからないんです。でも、先生はニコニコしていらっしゃったので…その…良い報告ができたらいいなと、思っております」
「本当に?!」
その返事を聞いてホッとしたように笑顔が戻るハンジ。気づけばクレアを書類ごと抱きしめていた。
「はい…なので、兵長にはまだ何も言わないで下さい。さっき医務室にいらした時に先生の方からもう今日は帰らせると言ってもらっているので。どんな結果であっても夜に私からちゃんとお話しますので」
「わかったよ。そしたら、私は訓練に戻るね!!気をつけて行ってくるんだよ〜!!」
クレアの言い分を理解し了承したハンジは、小躍りしながら兵舎の中へと走って行った。
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「…………」
リヴァイはかなり苛立っていた。
理由は言うまでもなく、クレアだ。
喧嘩をしたわけでもない。クレアが嫌いになったわけでもないが、苛立ちを止めることができないでいた。
普段健康そのもののクレアが体調を崩し、1週間もの間回復せず調子が悪いのだ。
こんなこと、今までにあっただろうか。
最近は調査兵団へ編入してくる兵士の対応に追われて仕事が忙しそうだったのは把握していた。
だからこそ倒れる前に休めと言ったのだが本人は首を縦には振らなかった。