第83章 第83章 番外編・奇行種、不調
「え…えと…それって…えーと…」
書かれていた場所を見ただけではどうにも反応ができない。だからといって単刀直入に質問するのもクレアの過去を想うとなかなかできない。
「あの…その…ハンジさん…」
クレアもクレアで、まだはっきりと事態を答えることができず、うまく言葉がでてこない。
お互い見つめ合いながら気まずい空気になってしまった。
「わ、私…一緒についていくよ。クレア1人じゃ心配だよ!!と、とにかく、ちょっと待って…て…って…グェ!」
書類やらなんやら荷物を持っていたハンジ。
何はともあれ1人で行かせるのは心配だ。しかし、両手に荷物では車椅子を押すこともできない。
超特急で荷物だけ置いてこようと大きく一歩足を踏み込んだが、当のクレアからジャケットの裾を掴まれてしまう。
予想外の制止に背中が仰け反ってしまった。
「ハンジさん…!大丈夫です!そこまで遠くないので1人で行けますし、もう午後の訓練も始まってます。元々午後に戻る予定だったハンジさんが戻られなければ皆さん心配しますし、反対にハンジさんが私に付き添って外出したとなれば兵長が黙っていないと思います!」
「クレア…」
「なので…1人で行かせて下さい!」
目をギュッと瞑り、両手を合わせてお願いされてしまうとそれ以上強く言えなくなってしまう。
それならその代わりにと、ハンジは思い切ってとある質問を投げかけた。
「そこまで言うならわかったよ…でも1つだけ教えて?先生は、どういう意味あいでそこに行くようにって言ったの?」
「え…?…といいますと…」
クレアは質問の意味がわからず首を傾げてしまった。