第83章 第83章 番外編・奇行種、不調
顔は蒼白で呼吸は浅くて弱かった。
もう助からないかもしれないと、最悪の事態も頭をよぎった。
しかし、大幅に足を切断することになったが、なんとか一命を取り留めた。
あんな危機的状況だったにも関わらず、奇跡的に回復したクレア。今では難しい医師免許の試験にも合格し、調査兵団の兵士のために日々汗を流してくれている。
片足となってしまったハンデもものともせず前向きに働く姿に医師は幾度となく元気をもらい、その若いパワーに助けられた。
そのクレアの体調がこのところ芳しくないのには気付いていた。
その原因に予想もついていた。しかしカルテを手に取る度に目に入ってしまう壮絶な過去。ウォール・マリア奪還戦の前に起こった悲しい出来事を思うと、どうしても躊躇ってしまい中々言い出すことができなかったが、リヴァイも心配がピークだ。そろそろきちんと原因をはっきりさせなければ。
そのためには一歩踏み込んだ問診をしなければならないが、医師として生きてきた長い人生。長年の経験からいっても間違いはないだろう。
医師はカルテに書かれたクレアの過酷だった調査兵時代の記録に目を通しながら最新のページに辿り着くとペンを握り直し問いかけた。
「クレア君、1つ教えてくれないか。もしかして………ではないかい?」
「え……?」
医師の予想もしてなかった質問に頭が真っ白になってしまう。
だが、質問の意味がわからないわけではない。
「え…えと……もしかすると………かも…しれないです…」
クレアは戸惑いながらも丁寧に答えると、医師はニコリと微笑み何やら紙に何かを書き始めた。