第83章 第83章 番外編・奇行種、不調
「だ、大丈夫です兵長…薬も飲みましたし…働けます!!」
「薬は飲んでるが、根本的に良くなってねぇだろ!家まで送るから今日はもう帰れ!」
「ま、待って下さい…!!今先生医薬品の仕入れで留守番を頼まれているんです!勝手に帰れません…それに私が帰ったあとに怪我人がでたら処置が遅れます…!」
「……!!」
引きずってでも家に帰らせようとしているリヴァイの形相に慌てたクレアは、片足なのにも関わらずガタンと勢いよく立ち上がり両手を前に出すと、ブンブンと振りながら今は帰れないと全力で拒否をした。
新米だがクレアとてこの医務室で働く医師。
無責任に帰ることはできない。
そんな事情も、クレアの立場も知っているリヴァイ。理解しているからこそ、医師としての責任を盾に帰宅を拒否されてしまうともう強く出れなくなってしまう。
しかし、医師である前にクレアはリヴァイの妻なのだ。愛する妻が1週間もの間体調不良でいるにも関わらず働き続けていたら心配になるのは当たり前。
リヴァイはどうしたもんかと眉間の皺をより一層深くすると、背後の扉がカチャリと開いた。
「留守番ありがとうクレア君。おや、リヴァイ兵長、どうしましたか?」
扉を開けたのは医務室で使う医薬品を仕入れに行っていた医師だった。
グッドタイミングなのかバッドタイミングなのかはわからぬが、リヴァイは眉間に皺を寄せたまま振り返ると、両手いっぱいに荷物を持った医師が立っていた。
「おやおや……」
難しい顔をしているリヴァイに慌てふためき涙目になっているクレア。
どうやら仲良く昼食をとっていたという訳ではなさそうな状況に、医師はどうしたもんかと言葉を詰まらせてしまう。