第82章 番外編・2人を繋げたモノは…?
「あ…あぁ…ありがとう、タリアさん…」
「んふ、どういたしまして。」
タリアは美人だ。
しかしナイルには、どうしたってハンジから色目を使われたような錯覚に陥ってしまい、失礼は承知だが引きつった笑顔になってしまった。
「兵長は、その…本当にご存知ではなかったのですか?」
「ん?エルヴィンの急用の話か?」
「はい…」
「あぁ、初耳だ。お前と出会えたきっかけが、まさかの髭ヅラ野郎だったとはな。ハッ、笑っちまうな。」
「ふふ、でも…素敵じゃないですか?」
「…?素敵?」
「だって団長は、ナイルさんのお子さんのお祝いに行かれたんですよ?そんなおめでたい事がきっかけで私と兵長は出会えたんです!!素敵です!!」
「そうかよ…」
パチンと両手を合わせて嬉しそうにニコニコと笑うクレアを見ていたら、ハンジのバカ騒ぎも、酔っ払ったピクシスの悪ノリも、もうどうでもよくなってしまったリヴァイ。
クレアが素敵だと言うのなら、髭ヅラのナイルがキューピットでもいいとさえ思ってしまう。
クレアと出会ってから、好きなってから、そして想いを繋げてから…
ずっとずっと、何をするにもまずはクレアだ。
そして気づけば自身の思考回路でさえクレアを中心に回っている。
クレアと出会う前の昔の自分が、今の自分を見たらいったい何を思うだろうか。
1人の女に惚れ込み、あまりにも変わりすぎて絶句だろうか。
しかし、絶句だろうが失笑だろうが構わない。
仲間を守るために人殺しをしていたあの頃の自分を否定するつもりはないが、クレアを中心に回っている今も悪くない。
それはとても温かくて、心地いい。
今、心から自分は幸せなのだ。