第82章 番外編・2人を繋げたモノは…?
「…??兵長?どうしましたか?誓いのキスですよ…?」
「あぁ…わかってる…」
柔らかく笑うクレアの笑顔に見惚れていたら、アルミンから誓いのキスを催促されてしまった。
改めて向かい合うと、クレアは屈んで小さく頭を下げる。
リヴァイが長いベールをあげれば、2人の間を遮るものは何もない。
クレアは少しはにかみながら、そっと目を閉じた。
「…………」
クレアとは数え切れない程キスをしてきた。
それは挨拶代わりの軽いキスからお互いを激しく求め合う濃厚なキスまで…
でもそんな数え切れないキスの中でもリヴァイが1番印象に残っていたのは、雨で全身ずぶ濡れになってした、初めてのキス。
どうしても自分の想いを伝えたくて、心と心で繋がりたくて、そして自分だけのモノにしたくて…
昂ぶった感情のまま、クレアの気持ちも聞かぬまま奪った冷たい唇は、今でも鮮明に覚えている。
唇も、髪の毛も、服も、身体も芯から冷えていたのに、重なった唇は触れれば触れるほどに愛しさがこみ上げて胸の奥がカァッと熱くなった。
思い出深く、1番印象に残るキスだった。
あの当時は自身の中でもどかしく疼く恋心に焦り、苛立ち、感情のコントロールがいちいち大変だったのが懐かしい…
だがよくよく考えれば、感情のコントロールが大変なのは今もさして変わらないかもしれない。
今だってクレアが笑えば愛しくて、クレアが泣けば守ってやりたくて、クレアが他の男の名を口にするだけで嫉妬に狂ってしまう。
どんなに時が経とうと、クレアの魅力に慣れ、この心が安寧する日など…きっとこないのだろう。