第82章 番外編・2人を繋げたモノは…?
『こちらに向かって自己主張をしている小さな粒を仰せのままに口の中で転がせば、淫猥な蜜壺からは甘くねっとりとした蜜が溢れ出し、あっという間に湖ができてしまう。』
『快感を求めて喘ぎ跳ねる彼女の姿はまるで交尾をしている鸚哥のように可愛らしく、自身の中で蠢く獣の暴走を抑えることなど不可能であった。』
「………!!?」
この本は神父が肌見離さず持っている聖なる書物の代わりなのはわかる。
また、メモ紙を貼っている理由も理解できる。
しかし、何故こんな健全とは程遠い官能小説を代わりにチョイスしたのだ。
聖なる書物の代役になる本など、いくらでもあったはずだ。
何故これなのだ。
「おいアルミン、さっさと読め…」
「は、はい!すみません!!えーと…」
アルミンは馴染みのない卑猥な文章に目を回してしまうが、リヴァイの声でハッと我に返るとメモに焦点を合わせ読み上げ始めた。
────────────────
耳の奥が痒くなるような愛の説教を聞き、大勢の客の前で愛を誓えばいよいよ残すは誓いのキスのみ。
「ではお2人、誓いの口付けを……」
神父の代役もスムーズにこなせ、アルミンはホッと笑顔になる。
「はぁ…最初からアルミンにやらせればよかったんじゃねぇのか…」
スムーズ過ぎる程スムーズに進み、リヴァイはため息をつきながらボソリと呟いた。
「そうですね…」
すると、リヴァイの悪態が聞こえたのか、クレアはクスリと笑いながら小さな声で答えた。
台本通りにいかなくて、ハプニングが起こって、ドタバタな展開になってしまった挙式。
ハンジが計画して段取りを組んだだけある。
実にハンジらしいとクレアは幸せそうに笑った。