第82章 番外編・2人を繋げたモノは…?
人前で愛を誓うなど乗り気ではなかったが、これさえ終わってしまえば誓いのキスと屋外での会食披露宴だ。
会食披露宴になってくれれば後は酒好きの人間で各々宜しくやるはずだ。
リヴァイは心の中で腹を括ると、クレアの両手を握った。
しかし…
「コホン、それでは皆様、本日はお日柄も良く…と言いたいところじゃがな。ちょいと緊急事態での…」
「………あ?!」
ハンジから聞いていた台本にはこんな台詞は出てこなかった。
神父役のピクシスが聖なる書物に見せかけた官能小説に、ハンジが貼り付けたカンペを読みあげて2人が愛を誓うという流れだった筈だ。
思わず晴れやかな結婚式場とは正反対な表情で眉間にシワが寄ったリヴァイだが、ピクシスの口からは耳を疑いたくなるような言葉が出てきた。
「クレア君、その胸はどうした?随分と成長しとるようじゃが…うむ!もっと近くでよく見せなさい。」
「ピ…ピクシス司令…?!」
「はぁ……?!!」
真顔でトンデモ発言をしてくれたピクシスだが、その目元はほんのりと赤くなっている。
神父役を仰せつかっておきながらも、めでたい雰囲気に酒が我慢できなかったのだろう。
豊かに膨らんだクレアの胸を舐め回すように見ては祭壇から身を乗り出した。
「クレア君!!いいからこっちに来なさい!!ワシにもっとよく見せなさい!」
「え!あ、あの…その…えっと…」
自身に任された任務を忘れ、クレアの胸に理性を崩壊させてしまったピクシス。
クレアはリヴァイと繋いでいた手を引っ込め胸元を隠すのに精一杯だ。
胸が小さい事は昔からコンプレックスだったのは事実だ。
大きな胸になりたいと思っていたのも事実。
しかしこんな風に周囲の注目を浴びたいわけではなかったため、クレアは胸を隠しながらしどろもどろになってしまった。