第82章 番外編・2人を繋げたモノは…?
少し恥ずかしそうに、遠慮がちな上目遣いでリヴァイを見つめるクレア。
頭の両サイドにあしらわれた大きな白いバラ、細やかで繊細な刺繍の入った美しいベール。
そして…華奢なクレアの身体を華やかに演出している豪華なエンパイアドレス。
しかし、リヴァイの目に真っ先に飛び込んできたのは真っ白な美しい装いではなかった。
「……………っ!!?」
そう、リヴァイの目に飛び込んできたモノ。
それは、細い身体に似つかわしくない胸の膨らみ。
昨日まで…
否…なんなら今朝まではティーカップソーサーをひっくり返した程度の膨らみしかなかったと記憶している。
きちんとこの手で触ったのだから確かだ。
だが、今目の前にいるクレアの胸は巨乳とまではいかないが、それなりに大人っぽいサイズになっている。
いったいこの短時間で何があったのだ。
リヴァイがクレアの胸元に釘付けになっていると、客席の最前列でニヤニヤと笑っているハンジと目が合った。
どうやらこの胸のカラクリを知ってるようだ。
しかし今は挙式の最中。
タネ明かしは後になるだろう。
「コホン……」
「……………」
クレアの胸に釘付けになりながらも冷静にそう判断すると、祭壇に立っていたピクシスが咳払いをしてみせた。
その咳払いを聞くと、リヴァイはほんの少し憂鬱になる。
ー誓いの言葉ー
これからこの大人数の前でクレアへの愛を誓わなくてはならない。
それがリヴァイの憂鬱の原因。
勿論クレアの事は愛している。
しかし、それは2人の間で交わせば十分ではないのか。
何故わざわざこんな人前で愛を誓わなければならないのか。
リヴァイにとっては小恥ずかしいなど通り越して、軽く拷問級のパフォーマンスだった。