第12章 奇行種の休日
──翌日──
クレアはカーテンから入り込む日の光で目を覚ますと一気に覚醒し、飛び起きた。
いつもの起きる時間よりはるかに外が明るい。
慌てて時計を見ると、なんと正午をまわろうとしていた。
訓練兵時代から一度もしたことのなかった寝坊を初めてしてしまった…
まさかの失態に、やってしまったとため息がこぼれる。
クレアは、昨夜ずっとリヴァイの事が頭から離れず、なかなか寝付くことができなかったのだ。
──兵長の恋人になりたい──
自覚をした想いは溢れるばかりで止まることをしてくれない。
兵長が好き…
でも兵長は自分のことを好きかどうかはわからない…
兵長が部屋の掃除を任せるのは自分だけ…
でも帰還後は思い切り怒鳴られた…
それでも兵長が好き…
溢れる想いと、止まらない不安がグルグルと複雑に入り乱れて、結局寝付けたのは明け方だった。
「どうしよう…2日も執務室にいくの、サボっちゃった…」
もともと休日はこなくていいと言われていたが、休みの日も執務をこなしていることがわかると、クレアは休日もリヴァイの執務室に通っていた。
当然昨日と今日は休暇なので問題はないのだが、今まで休日も通っていたクレアは、サボってしまったような罪悪感にかられてしまう。
「兵長、怒ってるかなぁ……」
壁外調査のあとも忙しいと聞いていた。
リヴァイは今も執務室で仕事をしているだろう。
しかし、クレアは壁外調査後にリヴァイから怒鳴られたのを最後に、会っていない。
今のクレアには会いたくても、会いにいく勇気がなかった。
「………しかたがない…」
リヴァイに会うのは、今日1日1人で過ごして気持を落ち着かせてからにしようと決めて、クレアは身支度を始めた。
ふと机を見るとフレイアからの置き手紙がある。
珍しく起きてこないクレアを心配していたことと、エルドと出かけてくるといった内容が書いてあった。
きっと帰ってくるのは夜になるだろう。
自分もどこかに出かけようかと考えていると、香油がもうなくなりかけてることに気がついた。
「今日は街まで香油を買いに行こう。」
そう思い立ったクレアは、食堂で軽く食事を済ませると、街まででかけていった。