第81章 番外編・厳しい現実と深まる友情
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「ハンジ、クレア、今日は本当にどうもありがとう!もう暗いし気をつけて帰ってね!」
「タリアさん、おじゃましました。」
「んじゃ!また顔出すから!無理しちゃダメだからね〜!」
久しぶりに会えたタリアともっと話に花を咲かせていたかったが、明日も2人は訓練に仕事だ。
食事を終えたハンジとクレアは早々にタリアの家を後にした。
兵舎へ向かってハンジはクレアの車椅子を押しながら歩く。
雪は降っていないが気温はグッと下がり、湿っていた地面の土は凍り、所々でパキパキと寒々しい音が耳に響けば体感温度はさらに低くなる。
吐く息も見事に真っ白だ。
「ハンジさん、お疲れ様でした。肩、そうとう凝ってるんじゃないですか?」
2人で白い息を吐いていたらクレアがくるりと振り返り声をかけてきた。
「え…?!う、うん…まぁ…アハハハハ…」
「普段鍛えていても、赤ちゃんを抱っこするのって、緊張もするしとても疲れますよね。私が交代できればよかったんですけど、こんな身体なもので…すみません!」
クレアは申し訳なさそうに謝ったのだが、ハンジはそれを全力で否定する。
「そんな事無いって!!私は料理も片付けもできないからね!私の抱っこでランスロットが泣き止んでくれるなら何時間でもするさ!」
「ありがとうございますハンジさん。兵舎に戻ったら私、マッサージをして差し上げますので急いで戻りましょう。」
「えぇ?!クレアがマッサージしてくれるの?!」
クレアのサプライズな提案に、ハンジは鼻から白い蒸気を上げながら目を輝かせた。