第81章 番外編・厳しい現実と深まる友情
「ハハハ、ランスロットから見ても私とタリアはそっくりなんだね!でもちょうどいい!びっくりしてくれてる間に食べちゃおう!!」
「そうですね!!ではいただきます!」
「いただきまーす!!」
「わっ、すごい…おいしい…」
「でしょでしょ〜?クレアは料理も上手なんだよ!!」
まだまだ底冷えする冬の夜に、皆で食べる温かなシチュー。
ずっと孤独に育児をしてきたタリアにとっては心に染み込む程温かくて、優しい味だ。
「ハンジ…クレア…本当に、本当にありがとう……」
「友達として当たり前の事をしたまでだよ。これからはもう少し顔出せるようにするから、手伝って欲しい事があったら遠慮しないで言って!あっ、まぁ…料理も片づけも掃除も私は苦手なんだけど…クレアがやってくれるから!!」
「もう、ハンジさんったら!」
「アハ、アハハハハ!!クレア、宜しく頼むよ!私はランスロット抱っこしてるからさ!」
3人で笑いながら囲んだ食卓。
疲労や不安が解消された母親の雰囲気を感じ取ったのか、ランスロットは終始大人しくしていてくれた。
そんな姿を見て、タリアは自然と笑顔を向ける。
「ランスロットごめんなさいね…あなたはモブリットが遺してくれた大切な一人息子だというのに…情けない泣き言を言って、不安にさせてしまったわね…」
「タリアさん…」
「でも、もう大丈夫!!私にはハンジとクレアという素晴らしくて頼りになる友人が2人もいるのだから。苦しい時は2人を頼って、笑顔の絶えない母親になるわ…」
“モブリットが遺してくれた大切な一人息子”
その言葉にふとある事を思い出したハンジとクレアは持ってきていた布袋に手を伸ばした。