第81章 番外編・厳しい現実と深まる友情
ほんの数時間手助けをした所で、積りに積もった疲れが解消されるわけではないが、どうか少しでも元気になって欲しい。
ハンジもクレアも、タリアを想う気持ちは同じだ。
2人でそんな事を考えていたら、タリアが寝室から出てきて声をかけた。
「ハンジ…クレア…ごめんなさい。私、だいぶ眠ってしまっていたわね…」
「タリア!おはよう!…気分はどう?少し落ち着いた?」
「えぇ…こんなにまとめて眠れたの、産後初めてかも。すごくスッキリしたわ。2人とも、ありがとう…」
「そっか!よかったぁ…」
久しぶりにまとまった睡眠のとれたタリアの表情は、先程とはうって変わりスッキリとしている。
痩せてやつれてしまってはいるが、顔色が良くなっているのも確認でき、2人はホッと胸を撫でおろした。
「タリアさん、食欲はありますか?栄養たっぷりの野菜を煮込んだシチューを作ったのですが、少し召し上がりませんか?」
「クレアが作ってくれたの?いい匂い!食べたいわ!」
「ではみんなでいただきましょう!!」
クレアがシチューとパンを皿に盛り付けテーブルに並べると、3人でイスに腰掛ける。
「あ…あれ……?泣か…ない?」
「本当だわ…立って抱いてないと大泣きなのに…」
立って抱いていないと必ず泣き出してしまっていたランスロットが、不思議な事にグズらない。
試しにベッドに寝かせてみるが、タリアとハンジの顔を見つめながらキョトンとしている。
「フフフ、もしかしたら、お母さんが2人いるってビックリしてるのでしょうか?」