第12章 奇行種の休日
「そ、そんなことないですよ……」
「でも、昨日の兵長には驚いたよ。クレアを見つけたらオルオに馬押しつけて走っていっちゃうし、血塗れの姿みては大声出すし、きっとあそこにいた人間全員が同じこと考えてたと思うけどなぁ。──兵長はクレアに気がある──ってね。」
「で、クレアはどうなの?自分の気持ちに答えはでたの?」
更にはフレイアの逃げ場のないつっこみが入る。
「ゔ………。」
壁外調査の前日には優しく励まされて、当日の朝にはいつもの兵長で、帰還後には怒鳴られて……
クレアはリヴァイの考えてることなど、さっぱりわからなかったが、自分の気持ちに、
向き合うことはできている。
友人のフレイアには隠しておくことはできないだろう。
「う、うん。ちゃんと考えて答えを出したよ。私はきっと、兵長のことが…好き……なんだと思う。」
それを聞いたフレイアは、やっとここまできたかと、苦笑いを浮かべるが同時に少し安堵もした。
大鈍感女が一歩前進したのだ。
「で、でも!この気持ちに気づいたのはほんとにちょっと前のことで…いますぐ想いを伝えるとか無理だし、恋人同士になりたいとか想像するのもおそれ多くて無理です…」
エルドとフレイアは顔を合わせると、少し呆れたように笑った。
ハンジ同様リヴァイと付き合いの長いエルドも、リヴァイのことはよくわかっていた。
兵団内外問わずモテるリヴァイが女の噂を出したことも無く、娼館通いをしているところも見たことがない。
そんな身持ちの固かったリヴァイが、1人の女兵士に特別な感情を抱くことなどおそらく初めてのことだろう。
リヴァイもリヴァイなりにどう事を進めて良いのか戸惑ってるのかもしれない。
そうなると、まだまだこの2人は遠回りをしそうだ。
しかしエルドは尊敬するリヴァイの幸せのために、フレイアは大切な友人の幸せのためになんとか結ばれて欲しいと願っていた。
「クレア!兵長は今君のことを特別に想ってるはずだ。兵長が今までにあんなに誰か1人の安否を気にかけたことなんてなかったからね!」
エルドの語りに熱が入る。
本当にそうなのだろか…昨日のハンジの話といい、エルドの話といい、それがもし本当なのだとしたら…
そう考えだしたら少し胸がキュッと切なくいたんだ。