第12章 奇行種の休日
孤児院を出発すると、クレア達は少し遅めの昼ごはんを食べるために、飲食店に立ち寄った。
昼のピークは過ぎているが、店内は若い者で賑わっている。きっとこの辺では人気の店なのだろう。
4人がけのテーブルに案内され、水とメニューが置かれる。
「クレア、今日は俺の奢りだ。なんでも好きなものを頼んでくれ。」
「え?!エルドさん?そんな、大丈夫です!新兵は薄給ですが、訓練兵の時よりは貰ってますので!!」
エルドのまさかの提案に両手をブンブン振りながらクレアは丁重に断った。
「いや、そうさせてくれ。俺がフレイアと恋人同士になれたのも、クレアのおかげだからな。」
そういうと、エルドはフレイアと顔を合わせ、お互いに照れながら笑った。
クレアの記憶が正しければ、この2人が付き合いだしたのはつい最近のことだったはず。
なのに、2人から漂う雰囲気は長く連れそった恋人同士のようにも感じた。
愛を育むのに時間は必要ないのだろうか。
2人から幸せオーラをわけてもらった気分になったクレアは、エルドの提案を素直に受けることにした。
「エルドさん、ありがとうございます。ではお言葉に甘えて……」
クレアはメニューを見て、オムライスとオレンジジュースを注文した。
食事をしながらの話題は調査兵団内のことがほとんどだった。
3人の共通の話題といえばこれくらいだが、以外にも話のネタは尽きず盛り上がっていた。
エルドからはペトラとオルオの初陣の失敗談や、2人の痴話喧嘩の数々、グンタの失恋話などが飛びだし、クレアとフレイアからは訓練兵時代の話など、話題は尽きず、楽しく食事の時間は過ぎていった。
しかし、この楽しい雰囲気の中エルドは地雷を踏んでくれた。
「なぁ、クレアと兵長って付き合ってはいないの?」
「………………っっっ!!!」
オムライスを吹き出しそうになる口を思いっきり手でおさえて阻止した。
ジュースで一気に流し込む。
「ゴホッ!ゴホッ!エルドさん??いきなりどうしたんですか?そ、そんな…付き合ってるなんてことはありません!」
「ご、ごめんごめん!!いやぁ、少しフレイアとも話してたんだけど、兵長ってクレアのこと好きだよね?」
「え?えーーーー?」