第81章 番外編・厳しい現実と深まる友情
「………っ!…フ…フェ…フェーン…!!」
「あっ……」
よく眠っていたランスロットだったが、目を覚ますと顔をクシャリとさせながら泣き出してしまった。
タリアが言っていた時間よりも若干早いが、空腹になってしまったのだろうか。
「ヒッ…ヒック…アァ!アァーーン!!!」
「た、大変!泣き出しちゃいました!!」
「え?えぇ?!どうすればいいの?ねぇ!クレア?!どうすればいいの?」
目を覚ましたと思ったら火がついたように大声で泣き出したランスロット。
そんなランスロットにハンジは早くもパニック状態。
右往左往しながらクレアに助けを求める始末だ。
「落ち着いて下さいハンジさん。しばらく眠っていたのでおしめが汚れているはずです。それに、お腹も空いてると思うので、まずは考えられる事からやっていきましょう!」
そう言うとクレアは準備をしておいた哺乳瓶に粉ミルクと湯を入れて混ぜると、水を張った洗面器につけた。
「ミルクを冷ましてる間におしめを替えましょう。」
片脚で立ち上がってベビーベッドの前の柵をおろすと、クレアは手際よくおしめを替えてランスロットを抱き上げる。
「ハンジさん!哺乳瓶取ってもらえますか?」
「う、うん!!」
おしめを替えてさっぱりしたランスロットを腕に抱いて車椅子に腰掛けると、クレアはハンジから哺乳瓶を受け取りミルクを飲ませた。
「わぁ…!飲んでる飲んでる!可愛いね!!」
「お腹空いてたみたいですね。これで泣き止んでくれるといいのですが…」
相手は生まれたばかりの赤子。
眠る事すら1人でできないか弱き存在だ。
空腹が満たされて大人しくなってくれるのを祈るばかりだ。