第81章 番外編・厳しい現実と深まる友情
「そ、そうですね…そしたら、起きてすぐにミルクが飲めるようにお湯を沸かして哺乳瓶の準備をしておきましょう。それとおしめは…これかしら?」
クレアは周りをキョロキョロと見渡して、お世話に必要な物を見つけると、今度はヤカンに火をつけてお湯を沸かし始めた。
「コレが…ミルクよね?えーと、まだ生後1ヶ月もたってないから…量は…」
「クレアすごいね!!赤ちゃんのお世話もできるの?」
「え?」
ランスロットが目覚める前にアレコレと手際よく準備をし始めたクレアを見てハンジは感心したようだ。
「あ、いえ…うまくはできませんが…昔、小さな赤ちゃんを一緒に連れて手術にくる患者さんもいらっしゃったので…お母さんがまだ起きれない間は私と母で面倒みたりしてました。なのでなんとなく覚えているだけです。準備しとけば急に泣き出しても慌てませんし…」
「そっかそっか!!クレア!頼もしいぞ!!さすがはハンジ班の奇行種だ!!」
「そんな事ないですよ!それにもうその呼び方はやめて下さい…さすがに恥ずかしいです…」
「もう、褒めてんだってばぁ!!アハハハ!!」
湯が沸き、クレアが火を止めるとリビングは再び静かになり、ランスロットの寝息が心地よく聞こえてくる。
その心地よく聞こえる寝息にハンジもクレアも自然とその寝顔を覗き込んでは表情が緩んでしまう。
「すごいなぁ…本当に生まれてきたんだね!髪の色はモブリットと同じだ。それに口元もそっくり…」
「そうですね、髪の毛の色が同じなのでモブリットさんそっくりに見えます。」
静かに眠るランスロットを見つめながら和んでいた2人だったが、そんな穏やかな時間は長くは続かなかった。