第81章 番外編・厳しい現実と深まる友情
そして同い年という事もあり、すぐに意気投合したハンジとタリアは、今ではすっかり呼び捨てで呼び合う仲だ。
きっと今日も仲良くお喋りに花を咲かせるのだろうと思ったのだが、出てきたタリアの顔を見て、ハンジとクレアは驚いた。
「タリア?!い、いったい…どうしたのさ…?!」
「タリアさん!大丈夫ですか?!」
2人がタリアと最後に会ったのはちょうど臨月に入った頃。
少し腰が痛いと言っていた以外に特に不調や異常はなく、後は陣痛を待つだけだった。
身重でもキレイに化粧をして、髪も艶々していた。
しかし、今目の前にいるタリアは髪はボサボサに乱れ、身体は痩せこけ、化粧をしていない目元には真っ黒なクマができている。
こう言ってはなんだが…
ハンジよりもハンジらしい姿だ。
「う、うん…大丈夫…全然眠れてない…だけだから…さ、入って入って…」
扉を大きく開けて2人を招き入れるが、タリアのこんな姿を見たらとてもじゃないが家に上がる事なんてできない。
「寝てないの?ご、ごめんそんな大変な時に…私達出直すから!ゆっくり休んで?!」
「待ってハンジ!違うの…お願い…お願いだから上がっていって!!」
「え…??」
ハンジは出直すと言ったのだが、タリアは首を横に振りながら上がっていってと懇願した。
明らかに寝不足で体調が悪そうなのにいったいどうしたのだろうか。
「ハンジ、クレア…少しでもいいから私の側にいて……」
「タリアさん…」
「タリア…わかったから…ちょっと落ち着いて?!」
なんだか事態はとても深刻そうだ。
ハンジとクレアはとらりあえずタリアの要望通り、家に上がる事にした。