第81章 番外編・厳しい現実と深まる友情
「クレア!!タリアから手紙が届いたよ!赤ちゃん、産まれたって!!男の子だって!!」
「ほ、本当ですか?」
ハンジは今さっき届いたばかりの手紙を高々と掲げて興奮気味だ。
「うん!!3週間前に産まれたみたいなんたけど、お医者さんから少しずつ日常生活に戻していいって言われたから是非会いに来てって書いてあった。名前は“ランスロット”だって!くぅ、カッコイイねぇ!!」
「すごい…本当に産まれたんですね!!」
タリアに最後に会ったのはちょうど2ヶ月ほど前。
臨月に入って大きくなった腹を愛おしそうに撫でていた姿が印象的だった。
「うんうん!!ねぇ!今から会いに行かない?!」
「えぇ?!今からですか?!」
「だってぇ!こんな知らせを貰ったらいてもたってもいられないし、次の休みまで待てないよぉ!」
「で…ですが……」
クレアもタリアに会いたい気持ちはあったが、ちょうど包帯の整理をしようと準備を始めてしまったため、どうしたらよいものかとまごついてしまった。
「クレア君、そこの整理はまた今度でいいから行っておいで。」
「先生……」
そんなクレアを見た医師は、ハンジと一緒に出かけるように背中を押してやった。
「休みの申請書類は書いておくから、気をつけて行っておいで。」
「先生!ありがとう!!そしたらクレア、早く行こう!!……って、クレア…?それって……」
ハンジは車椅子の手押しハンドルを握って、クルリと扉に向かって回転させたが、クレアが手に持っている物が目に入ると、言葉を詰まらせてしまった。