第81章 番外編・厳しい現実と深まる友情
「クレア君、それは緊急事態などで包帯がなくなってしまった時のための予備の包帯なんだよ。」
「予備の包帯…ですか?」
「うむ。怪我人には新しいガーゼや包帯を使うというのは言うまでもないだろう。しかし、このご時世だ。いつ何が起こるかわからない。包帯は特に消耗するから、再利用できそうな物は洗濯をして保管しておいたのだが…忙しくてそのままだった…」
「そうだったのですね…」
どうやらこの包帯は緊急事態で足りなくなってしまった時の予備らしい。
確かに医師の言う事ももっともだ。
緊急時、包帯などは備蓄しておいてもすぐになくなってしまう。
全ての怪我人に新しい包帯を使ってやりたいのはやまやまだが、もしかしたら難しい時もでてくるかもしれない。
そんな時、再利用の物でもないよりはマシだ。
この包帯はもう1度洗濯し直してからきれいに巻いて、医務室の納戸に入れておこうと考えたクレアは医師にある事を申し出た。
「先生、そしたら私、お洗濯し直してきれいに巻いてしまっておきますね。寒いですが夕方までには乾くと思いますし!」
「それは助かる。頼んでもいいかい?」
「勿論です!!さっそく始めますね!!」
クレアは木箱の中に両手を突っ込んで大量の包帯を洗濯カゴに移していると、底の方からあるモノが出てきた。
「あ…コレって……」
箱の底で眠っていたモノを手に取ると、医務室の扉が勢いよく開いた。
「ねぇ!!クレア!!いるーー?!って、いたーーー!!!」
「ハンジさん…?!」
ノックもなしに騒がしく入室してきたのは、ハンジだった。