第12章 奇行種の休日
返事に困ってる姿をノーととらえたのだろうか?
「……?じゃあエルドさんはクレアお姉ちゃんのカレシなの?」
「!?」
次に赤くなったのはクレアだ!
無邪気な子供の質問にアタフタする3人の姿は非常に滑稽だった。
「エルドさん…ここはしっかりしないと!」
クレアがこっそり耳打ちをすると、エルドはコホンと咳払いをし、今一度マリアと向き合った。
「マリアちゃん。俺がお姉ちゃんの彼氏だったら嫌かい?」
「……んーん。そんなことないよ!エルドさんがお姉ちゃんのカレシなら、マリアのお兄ちゃんね!ふふ、嬉しい。」
その返事を聞いて3人はホッと肩をなでおろした。
「それに、クレアお姉ちゃん!マリアのこと、覚えてないかもしれないけど、助けてもらったのよ。あの時はどうもありがとう!」
記憶が曖昧だったが、小さな子供を抱えて走ったことはクレアも覚えていた。
こんなにも可愛く成長した姿で再会できるなんて思ってもみなかったため本当に嬉しかった。
その上マリアが、同じ調査兵の妹だったなんで、誰が予想できたであろうか。
マリアはフレイアと似て、とても明るい性格だ。
「エルドさんは強いの?」
「クレアお姉ちゃんは巨人と戦ったの?」
「お姉ちゃんは怖くて泣いたの?」
無邪気な質問がたくさん飛んできた。
このくらいの子供は可愛いなぁ、と答えていると
「エルドさんとお姉ちゃんはもうキスしたの?」
「クレアお姉ちゃんはカレシいないの?」
というような、直球でおマセな質問もされるため、油断はできなかった。
名残惜しくも楽しい時間はあっという間にすぎていく。
孤児院の子供たちの昼食が始まるタイミングで、クレア達は失礼することにした。
「お忙しいとは思いますが、また会いにきてあげてくださいね。」
孤児院の寮母がフレイア達を門まで見送ってくれた。
「はい、また時間つくって面会にきますので、マリアのこと、宜しくお願いします。」
「お姉ちゃーん!エルドさーん!クレアお姉ちゃーん!また会いにきてねー!」
玄関から声の限りマリアが叫んだ。
「「「もちろん!またくるからね!」」」
クレア達は手を振ると馬にのり、3人は孤児院を後にした。