第80章 最終章・もう1つの花言葉
「以前街の露店で買った指輪は、粗末な上に仕事中は使えない形をしていたからな…今日からはこの指輪をつけるんだ。外すんじゃねぇぞ…お前は俺のモノだという証であると同時に虫除けだ。言っとくが俺の分もある…文句は、受け付けねぇからな。」
そう言うと、リヴァイはスッとクレアの左手の薬指に指輪をはめた。
「兵長……」
20歳の誕生日に露店で買ってもらった指輪は、メッキのリングにガラス玉が乗っているという飛び出たデザインのため、医療行為を仕事としているクレアには不向きなデザインであった。
でもこの指輪なら身に着けていても仕事に差し支えない。
それだけでは無い。
いつもリヴァイが側にいてくれるような気持ちになり、とても心強い。
クレアは太陽の光に反射しながら輝く指輪を眩しそうに見つめながら心から礼を言う。
「兵長、とってもキレイです!これは兵長とお揃いの指輪なんですね!とっても素敵です!!ありがとうございます、私…嬉しいです!!」
「そうかよ…」
クレアの喜ぶ顔に自然とリヴァイの表情も柔かくなる。
これからは同じ姓を名乗り、夫婦として、家族として支え合いながら生きていく。
永遠の愛を両親の墓前とキンモクセイに誓った2人。
何があってもきっと、大丈夫。
そんな希望に満ち溢れた2人は、何を語るでもなく見つめ合っていたが、1人蚊帳の外になっていたダスゲニーが割って入るかのように突然後肢で立ち上がった。
「ヒィィィン!!!ブルンッ!!!」
「キャッ!ダスゲニー?!」
「ダスゲニー?!どうした?!」
2人がダスゲニーに注目すると、痺れを切らしたかのように前掻きをし、リヴァイの背中を鼻でドンと押した。