第80章 最終章・もう1つの花言葉
巨人の襲撃によってこの世を去った両親。
しかしそんな残酷なきっかけで、クレアは訓練兵団へ入団する事になったのだ。
それまで平々凡々と過ごしてきたクレアの運命を大きく変えた両親の死。
そして、エルヴィンの急用という些細な出来事によりハンジと出会えた事、調査兵団に入団してリヴァイと出会えた事。
辛い別れに、苦しい戦いを何度も経て、クレアは1度は離れたシガンシナ区に再び戻ってくる事ができた。
最愛のリヴァイという存在と共に…
「兵長…お父様も、お母様も…こんな立派なお墓を建ててもらって…喜んでると思います。本当にありがとうございました…」
気鬱な一人娘で、両親には色々と心配をかけたかもしれない。
どうする事もできなかったとはいえ、両親の安否を確認せずに走り去って、悲しませたかもしれない。
でもクレアは挫けずに前を向き、類稀なる才能を活かし、立派に調査兵として務めを果たした。
ハンジという理解ある上司にも恵まれ、性格は見違える程に明るくなった。
そして1人の女性として恋をし、その想いをたった今、成就させる事ができた。
それは両親が恋人同士になった場所に咲いていたという、キンモクセイの香りに祝福されるように。
両親は遠い空の彼方から見てくれているだろうか。
身体は小さいままだが、心は大きく成長した。
そんな自分を見て、喜んでくれているだろうか。
ここまで育ててくれた礼を、生きてる時には何も返す事ができなかった。
両親が生きている時には何もできなかったが、ここまで大きく変われた自分の姿を、そして最愛のリヴァイとの結婚の報告ができた事を、親孝行だと思ってもいいだろうか。