第80章 最終章・もう1つの花言葉
「まだ戦いは終わりではない…俺の命が死と隣り合わせである事に変わりない。だがこの命ある限り必ずお前を守る。だから俺に残された時間が許す限り…2人で幸せだと思える時間を…目一杯共有したい…」
「兵長…うっ…うぅ……」
リヴァイの全身から溢れんばかりの愛に包まれたクレアは、目元を真っ赤にさせながら滝のように涙を流す。
この腕の中はどんな不安も、恐怖も、なかった事にしてくれる。
そしていつだって無限大な愛と優しさで包み込んでくれた。
「クレア…愛している…」
「うぅっ…わ、私も…私も…愛しています…」
リヴァイの愛に応えるようにクレアも背中に両腕を回すと、力一杯抱きつく。
巨人の恐怖と戦うこの壁の中で出会えた奇跡に、心からの感謝をすると、クレアはリヴァイの肩から空を見上げた。
自身の涙で潤んだ瞳では、雲も青空も歪んでしまう。
でもその代わりに涙越しに見た青空は、キラキラと輝きどこまでも清々しい程に澄み切っている。
美しいなんて言葉ではとても表現できない。
これからは、眩しく照らす日の出も、光り輝く星空も、リヴァイと一緒に見る事ができる。
なんて…なんて素晴らしいのだ。
リヴァイが一緒なら何も怖くない。
脚が片方しかなくたって、きっと何でもできる。
繋がった心が離れなければ、何だってできる。
リヴァイと共に手と手を取合えば、辛い事も苦しい事も乗り越えていける。
苦しい事は半分に分け合い、幸せは笑顔で共有して倍の大きさに。
そんな家庭をリヴァイと築いていきたい。
クレアの心の中は、今まで経験した苦しい思い出さえも全て肯定し、明るい希望で満ち溢れていた。